本文記事―99年5月
袋の指定化が障害に
「ゴミ袋の指定化は依然続いており、メーカーにとってコスト負担の圧迫材料になっている」と、ゴミ袋メーカーは厳しい市場環境を訴える。指定袋をめぐってはゴミ袋メーカーの有志で構成している「指定ごみ袋を考える会」がこの間、さまさまな対応を行ってきたが、自治体の理解は十分ではないようだ。 自治体によるゴミ袋の指定化は「毎年の入札で必すしも前年実績のメーカーが落札するとは限らない。このため小売りのパイヤー、間屋も嫌がっている」と言われる。 特に広域での出店を展聞する小売りでは、手間と取引先のメーカーの特定が煩雑になることから、嫌がっているという。印刷されたゴミ袋は他自治体では使えず、極めて非効率的である。 同時にゴミ袋の価格が競争激化で厳しい状況にあり、売り上げ、利益面での圧迫材料も消えていない。ゴミ袋は値上げした一咋年の十−十二月と昨年の同期では売上高は五%下落しているという。 ゴミ袋の指定化で浮上しているのが黒いゴミ袋の行方である。資源ゴミの分別化が進む中で、黒いゴミ袋については排除する傾向が強くなっている。関西地区のある自治体では資源ゴミの分別を細分化し、透明か半透明のゴミ袋を指定レた。このため黒いゴミ袋がその自治体で投げ売りされているという。「黒いゴミ袋を排除するのはリサイクルシステムを排除することになる。再生原料を使った、灰色で半透明のゴミ袋もあり、自治体関係者はもっとリサイクルシステムの確立の視点から黒いゴミ袋問題を考え直してほしい」(指定ごみ袋を考える会) このような視点から一部メーカーでは古紙入りのゴミ袋を提案、「今後、古紙入りは増加すると予想される」とみている。一方、レジンメーカーは国際競争力を確保するために統廃合を繰り返し、再編の途上にあるが、「原料は海外安、国内高」となっており、国内ゴミ袋メーカーからは「国内原料も国際価格化すべきなのに一体どうなっているのか」との指摘が出ている。このような内外価格差がある限り、輸入ゴミ袋の増加は続くことになるようだ。ポリエチレン製袋の輸入は過去五年間をみても大幅に増加しており、昨年で二〇万トンに迫っている。増加の理由としては「国内メーカーの海外進出」「国産と輸入物で価格差が一−二割あり、輸入物が割安」「大手量販店などのレジ袋の海外調達が増えている。量販店によっては八割を海外で手当てするところもある」などが挙げられる。 国別では、ここ数年中国からの輸入が急増しており、全体の四分の一を占めている。このほかタイ、インドネシア、マレーシアからの輸入量が多い。中国からの急増の理由は価格の安さである。今後も中国からの輸人量は増えるとみられる。 ポリエチレン製ゴミ袋の国内出荷量は、高密度ポリエチレン(HDPE)が前年比で一けた以上の出荷の伸ぴをみせているのに対し、低密度ボリェチレン(LDPE)は前年比横ばいないし減少となっている。HDPEはゴミ袋、レジ袋での用途が高く、需要が堅調であることを反映している。これに対しLDPEは用途が農業用、産業資材の包装関連が主力となっており、不況の影響が表れている。 国内では自治体によるゴミ袋の指定化が推進されており、これに伴う対応がメーカーでは行われているものの、コストの負担増となっており、需要の堅調の一方で利益、売り上げ面では苦戦を強いられている形になっている。 |
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