本文記事―99年3月

 


 

売上げ一部が遊興費に? 不明朗な制度を改革

【3月17日=ほりごめ】関東地方にあるA市(人口3万人)は95年7月よりゴミ袋を指定化した。方法としては市で決めた可燃、不燃のタンカル袋を市内の”市が選定した雑貨問屋”5社に対しアイテムごとの枚単価で見積りを出させ、一番安値の問屋が一手に指定袋を取り扱うというものである。ただし、定期的に問屋、メーカーの選定は行なわず、最初に権利を得た問屋が現在まで仕切っているというものである。

また、問屋と小売店の間には商工会内部で組織した「クリーンパック○○協力会」という団体があり、小売店への納品金額の3%を吸い上げるシステムとなっている。ちなみに、口銭の3%は収集業務や処理の経費の補填にあてられるのではなく、単に協力会の遊興費にあてられていたとのこと。びっくりである。

今回、4月1日よりこれまでの闇に包まれた制度を認定制へ移行してメーカー、卸の自由参入が可能となったが、市が挙げている制度移行理由に“法的な問題”ということに触れていたため、具体的にどういうことかを探るために訪問することとなった。

応対は環境整備課ごみ減量対策係長の山田氏(仮名)である。山田氏は今回の制度移行のいいだしっぺでもある。

今回は下記のとおりに質問した。

使用枚数 : 現在、指定袋の規格は家庭用、業務用合わせて6アイテムあり、年間の使用枚数は合計で1,825,200枚である。

現行の流通経路 : 上記のとおり。

制度移行理由にある法的な問題とは? : もともと、95年の指定化の準備段階で上記の供給手段を考えたが、その時点から独禁法の問題が生じる可能性があるとして、当時の担当者が公取委に相談をしていた経緯がある。その時の公取委は”あまり歓迎される方法ではない”という見解をだしていたが、市側ではゴミ対策を早急に解決することを優先し、法的な問題について後回しにして指定化の制度を強行し現在に至っている。

2年前に山田氏が着任し、現行制度について把握してゆくと、どうも現行制度はおかしいと気づき、制度の見直しが必要であると考えたようだ。仕切っている問屋(森田商店)が「ゴミ袋はうちが仕切っているから」と高飛車にでたり、クリーンパック協力会の口銭の使い道についても納得がゆかず、表沙汰にして口銭のプール分を処理用のコンテナの費用に回させたりしたそうだ。ちなみに新制度移行にともない、クリーンパック協力会は解散する。

山田氏が現行制度が独禁法に触れるとして、具体的な見直しの草案を作成していた矢先、なんとタイムリーなことに公取委から現行制度について説明して欲しい旨連絡があったそうだ。なぜ、制度についての説明を求めたかについて公取委いわく、「A市はB県の中でも指定袋の先駆的自治体なので、いちおう内容を把握したい」とのことであった。山田氏は「公取委も指定袋の流通経路について興味を持ちはじめたようだ」と言っていたが、どうも誰かに刺されたみたいな感じがする。あぶれている他の卸問屋とか、メーカーとか……。小塩くんから授かったにわか知識で「公取委は自治体のやることに口だししないというのが基本姿勢なはずだったんですがね〜」というと、山田氏の顔が一瞬曇ったのはなんだったのか。

公取委としての見解は、やはり「現行制度に問題あり」として改善を求められたとのこと。繰り返すが、山田氏の説明では法的な問題があるので制度見直しを検討していたところ、公取委から連絡があったそうであり、公取委から指摘を受けたので制度見直しをしたのではないというものである。

また、制度移行にともなってタンカル袋から通常の材質に替えたことについては、山田氏自身が以前からタンカルの効果について疑問視(考える会のホームページの影響があったみたい)していて、実際に市役所内の理工系の大学院修士をでた人にいろいろと調べてもらったが、はっきりと効果があるとうたっている文献はないとのことでタンカルの採用を止めたそうだ。

認定制への制度移行といい、タンカル袋をやめたことといい、感動である。

 


 

「札幌市」の名前印刷はアイディア商法?

【3月16日=ほりごめ】昨年10月より、札幌市の家庭系のごみ袋が透明、もしくは半透明ということで指定化されている。要するにナショナルブランド(NB)の販売がOKということで、これまでことごとく印刷ものの指定化となってきた政令指定都市のなかにあって、まさに画期的なことであった。

ところが、ある量販店本部より「外袋に『札幌市』と印刷を入れている商品が市内の店舗にて販売されており、それがものすごく売れているので、おたくで製造できないか?」と打診があった。それはなんぞやということになり、さっそく現物を入手して印刷内容を確認すると、最上段に赤字で「札幌市」そしてその下段に青字で「分別収集用ゴミ袋」と印刷してある。札幌市分別収集用ゴミ袋と読めるじゃないか。これはおかしいぞということで、とりあえず札幌市役所にTELで確認したところ、担当者から「まぎらわしい表示のものがあるのなら情報が欲しい」と言われたので現物をもって訪問することになった。

折角、中身の見えるものなら何でも良いとなっているのに、わざわざ外袋に「札幌市」と印刷をいれるのなら、本体印刷ものと替わらないことになる。できればやりたくないが、それしか売れないということになれば問題である。

先方に事の次第を説明し現物をみせると「あ〜これね」と一言。知っていたのである。担当者の説明によると、指定化を発表したあとでこの製品の表示者である「北海道ポリオレフィンフィルム事業協同組合」が組合として「札幌市」と外袋に印刷することを打診してきて、市側はそれをOKしたのだという。

本当にこれが認められるのかとの問いに担当者は「本体のフィルムの透明度さえ基準を満たしていれば、外袋になんの印刷をいれようと市側はそれを規制する立場に無い」との見解である。「札幌市」の印刷のあとに「認定」とか「承認」とかの文字が入っていれば問題だが、単に「札幌市」だけでは規制できないとのことであった。また、中身の見える袋ならばなんでも良しとしている基準は市民に十分伝わっているので、販売実績は印刷によるものではないと考えているとのことである。しかし、あとで「こういうのってアイディア商法っていうんじゃないのかな〜」っと、「印刷は関係無い」といっていることに矛盾していることを言っていた。

結局のところ、まぎらわしいとも思えることを認め、一応は検討の余地はありそうだとは言っていたが、現段階ではOKをだしたことを今更どうしようもないとも言っていた。



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