本文記事―98年7月
全国パック連全国大会への出展、前向きに検討へ 【7月1日=小塩】全国パック連(正式名称「全国牛乳パックの再利用を考える連絡会」)という市民団体があります。官公庁や企業を上手に取り込んで、かなりメジャーな運動を展開している団体です。 そこの幹部である和田さんという女性とは、3年前に欧州視察旅行で道中を共にして以来、時々電話でお話するなどの親交が続いています。和田さんは肝っ玉母さん風の人で、私個人的に好きな人です。 和田さんからは、全国パック連の全国大会(展示会)の案内状が毎年送られてきます。指定ごみ袋を考える会も小間を出展してはどうかとの誘いです。ですが私は、ここ2回断り続けてきました。なぜなら、指定袋の問題と牛乳パックの問題が私の中ではどうしても結びつかなかったからです。ちょっと筋が違いかな?と。 それでも前回の島根大会では、こちらから考える会のパンフを数百部送付し、同時に協賛金を3万円ほど、こちらから自発的に提供しました。その代り事務局には、来場者にパンフを効果的にまいてもらうという約束をしました。私としては配布の行われたという確認をとっていませんが、お互い信頼関係があるのできっちり履行されたものと信じています。 今回も和田さんは私のところに電話をかけてきて、熱心に誘ってきました。「会場には自治体職員が大勢つめかけるのよ。PRするいい機会よ。日本フィルムなんかも出展してPRしているのよ(グリップ付きを宣伝していると思われます)。あそこに負けてちゃ駄目よ」と私の尻をたたきます。 また、私の懸念を振り払うように、「私たちは牛乳パックだけで動いているわけではないのよ。いろんな問題に取り組んでいるの。ごみ袋の問題だって、みんな気になっているのよ。でも、市民たちは知識がないから行動しないだけなのよね。企業さんが情報を提供してくれたら、私たちは動きますよ」と説得してきます。この言葉にはちょっと心を動かされました。 私は意を決し、こう切り出しました。「和田さん、わかりました。今年は無理ですけど、それでは来年参加しましょう。その方向で私が調整に動きますから。今年は下見をさせていただきます!」 今年は、8月7、8日に神戸で開催されるそうです。とにかく来場者の数が多いことが、とりわけ自治体関係者の多いことが自慢のようですから、私はその様子を見学してきます。そのうえで出展の効果を見極め、費用との勘案で面白そうだったら来年参加してみようと思います。 考える会の「理想のごみ袋」の試作プロジェクトが順調に進んでいれば、来年の交流会に品物が間に合うでしょう。それをツールとして活用すれば、意味のあるアピールが展開できるのではないかと算段しています。
古紙混入で強度は半減
【7月6日=小塩】当会は某都市への古紙混入袋売り込みに実際使用された文書を入手しました。その自治体では、すでに庁内備品用としての導入の検討にはいっているといいます。 まず、その文書の内容をご覧になってみてください。 >> 問題の文書(イメージ&テキスト) 環境志向の雰囲気を漂わせた甘い文句が並んでおり、素人ならイチコロで参ってしまいそうです。しかし、玄人を納得させるような材料はまったく含まれていません。言葉を巧みに使った虚飾の域を出ていません。 しかも強度データの部分は問題です。古紙混入フィルムは、引張強度が縦方向156kgf/cm2、横方向128kgf/cm2となっています。 JIS規格では、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)の場合、縦方向170kgf/cm2、横方向120kgf/cm2です。古紙混入袋は縦方向ではJISの値にすら届いておらず、横方向でかろうじてクリアしているというレベルです。 ちなみにバージン100%フィルムであれば縦方向380kgf/cm2、横310kgf/cm2程度の数値が、再生原料50%混入フィルムであっても縦方向300kgf/cm2、横方向270kgf/cm2程度の数値が出るのが普通です。古紙混入のフィルムはこれの半分なのですから、話になりません。
炭カルと同じで、混入前と同じ強度を保つには2倍以上に厚くしなければならず、単にポリエチレン原料と古紙粉末原料と製造に必要なエネルギーを余計に浪費するだけの結果に終わりそうです。「古紙リサイクル」ではなくて、実相は古紙をポリ袋にもぐり込ませる「古紙隠し」であるに過ぎません。古紙単体で処分したほうが経済合理性が高いのを、わざわざ手間をかけてポリ袋に混入させて、壮大な無駄を演じているのです。すくなくともこの文書からは、そうとしか解釈のしようがありません。 自治体職員も事務職の人は素人ですから、このような文書でも丸め込まれてしまう公算大です。 この文書を提出したのは地元の包材卸業者なのですが、文書の発行元はどことも書かれていません。当面、さらに確認作業を積み重ねて、報告を続けていきたいと思います。
秋田市、不燃用指定袋の規格変更でHDPE提案を排除 【7月9日=平石】秋田市環境部再資源課を平石、石沢の二名で訪問。秋田市指定袋の一部に仕様変更を検討中である四戸課長補佐に応対していただきました。 四戸氏には「視覚障害者の判別方法」としてHDPE(高密度ポリエチレン)を提案しましたが、市当局としてはパンチ穴入りの仕様追加を考えており、あとは部長決裁を待つ段階まで進んでいました。四戸課長はHDPEに対して「縦裂けする、冬季の強度が心配、透明度がLDPEに比べて落ちる」といった点を強調、HDPE採用の意志がないことを表明されました。 裏を返せば、圧倒的なシェアを持つ日本技研がパンチ穴加工が可能なため、仕様の追加で市民からのミシン目入りによるクレームには対処できると、再資源課(四戸氏)が判断したと考えられます。 しかし、単身や少人数世帯向けにはHDPEの顔料無しレジ袋も認めているらしく「あれだけHDPEに難癖つけといて何だ?」と首を傾げてしまいました。 最終仕様決定は9月初旬になりそうですが承認の更新時期も迎えており、更新には初回同様の手続きが必要となります。また、新たに版の変更(ペットボトルに関する追加)も必要となってきます。 パンチ穴が仕様追加となれば、市民からクレームの出ているミシン目入りは市場から消えていく可能性は高いと考えます。
函南町役場環境衛生課へ透明・半透明化を進言 【7月14日=馬場】函南町役場環境衛生課を訪ね、担当の戸川氏と話しました。現在、函南町ではごみ袋に対して何の規制もないため、自由な形(当然、黒ポリ袋が主流)で排出されています。それもあってか、ごみの中身は可燃物も不燃物もゴチャゴチャで、分別されていない最悪の状況のようです。(ごみの排出方法については、住民に対し過去に何度も指導やPRをしてきたようですが効果が上がらなかったと言ってました) そこで今回、ごみの分別徹底を目的に中身の見える指定袋の検討をし始めたというわけです。戸川氏の話ですと、有料化でもなく、ごみ減量でもなく、あくまでもごみ質の改善(分別の徹底)にあるということです。 ですから、指定袋の導入も認定制で現在の流通を活かした形(自由販売)を考えています。ただ、「行政が決めた指定袋である以上は行政に責任がある」という“お役人”の考えがあり、一定の品質基準は決めたいというのが言い分です。 「でしたら単なる透明・半透明化で十分ではないですか? そんな劣悪なごみ袋は市場には少ないと思いますし…」と言うと、「実は収集作業中の底抜け事故が割と多いんです。だから最低の強度基準みたいなものを決めておかないと。それと他市のごみが結構捨てられてるんですよ。そのためマークぐらいは入れたいと思ってるんですけどね」 「印刷を入れることにより、コストアップするばかりか、製造・流通・在庫の管理負担が大きくなり、用途別による袋のユーザーの選択幅を狭めてしまいます。何しろ指定袋については、我々だけではなくパンフレットにある他の会員メーカーや問屋、小売店も困惑しています」と詳しく説明を重ねました。 戸川氏は非常にものわかりのよい人で、こちらの話にきちんと耳を傾け、理解してくれました。しかし、「炭カル混入や印刷入れ一つ一つについて(無意味な事と)相手を説得させる明確な答えを用意しなければならないですから」と、いくら戸川氏が頑張ってくれたところで、どうしようもない部分があることも言っていました。もし議員などを抱えこんだ業者が甘い言葉で巧みに指定袋の売り込みをすればなびいてしまうかも知れません。 最後には「おたくのような大会社の意見はそうでしょうけど、他のメーカーさんの意見も聞いてみないことには…」と、こちらの意見を認めつつも、一方では指定袋に協力しそうな地元業者がいる気配を感じさせられた戸川氏でした。 というのが大体の話です。そもそものきっかけは戸川氏からの電話による問い合わせからでした。「いろいろと相談にのってもらいたいことがある」とのことだったので、とりあえずパンフレットを先に送付しました。戸川氏は熟読していた様子で、面談時にはこちらの意向が十分伝わっていました。 それと、なかなか情報が入ってこないのでしょう。色々と資料を頼まれました。「炭カルについても何か資料ありますか?」「他都市の半透明基準はどうなってんでしょう?」ということでしたので、「月刊廃棄物の95/9月号」と「ニュースステーションのビデオ」「東京都推奨袋の規格基準」「透明・半透明化を実施している市の半透明基準」を送ることを約束しました。
越谷市の清掃工場と資源化センターを見学
【7月30日=馬場】たまたま機会に恵まれ、越谷市にある埼玉県東部清掃組合第一工場と越谷市資源化センターを見学して来ました。
ダイオキシン対策も万全で基準値以下の排出量です。「こんな工場が全国の各市町村にあれば指定袋など必要無いのにぃぃ‥‥」という思いがしました。
少し離れた場所にある資源化センターでは、特に不燃物(越谷市ではガラス・ビン、アルミ・金属)の分別処理が徹底されています。印象的だったのは、説明にあたってくれた石川厚生環境部長の熱意です。 ・ごみの組成を分析し、 という確固たる理念です。そして「担当職員は2,3年で異動しないこと、最低でも6年やらなきゃ“ごみ”はわかりませんよ」という言葉はほかの自治体職員に聞かせてやりたいと感じました。とにかく、自分自身で努力(勉強)しているせいか、一言一句自信をもって話します。 資源化センターを見終わった後、最終処分場も見せてもらいましたが、本当に「ここ数年埋め立て処分はほんの僅か」という言葉通り、残滓が廃棄されていませんでした。臭いも無く、草が生い茂ってました。 越谷市の両施設は、ほんとうに注目に値する事例であると思います。今回は「埼玉エコ・リサイクル連絡会(有志)」という市民団体の一員として参加しましたので、それで手厚いもてなしを受けたような気はしましたが、職員の方々の姿勢がオープンで印象的でした。 |
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