本文記事―98年6月
JR東日本、古紙混入ポリ袋を発売へ
【6月1日=小塩】JR東日本が環境ビジネスの第一弾として古紙を混入したポリエチレン袋の製造販売を始めることを、けさの日経新聞が産業面で伝えています。宇都宮に3億3千万円をかけて新工場を新設。市町村の指定袋への導入を期待し、当初年間4億円の販売を見込むという内容です。 これまで古紙混入袋に関連した報道は、業界紙などで幾たびか見られました。古紙混入袋が多摩市のモデル地区指定袋に採用されたとか、JR東日本がイベントに利用する方針を決めたというニュースです。それで私は、一度JR東日本に電話をかけ確認してみたことがあります。そのとき担当者は、「炭カルは燃やすとそのまま灰として残るが、古紙はそうではないという点が、今ある炭カル袋よりはベターである」という説明を繰り返すだけで、“古紙リサイクル”の本質にまで及んだところでの納得できる説明をすることはありませんでした。したがって、(なんだ、結局は炭カルと同じロジックなのか……)という印象を受けたものでした。 もし理屈が炭カルとまるっきり一緒で、ただ混入する材質を「石の粉」から「紙の粉」に変えただけであるとしたならば、世に出す必然性は薄弱であると言わざるを得ません。古紙をわざわざ手間をかけてポリ袋にもぐりこませるくらいなら、最初からそれ単体で廃棄物処理施設に直行させた方が社会全体にとって合理的であると思えるからです。 今回の日経では、従来の記事とはすこし異なり、「土中に埋めた時に風化しやすくする」という説明がなされています。どうやら焼却時の効果以外に、さらに埋め立て時の「分解性」も持ち出してきているようです。であるならば、「分解性」の効能についてきちんと検証してみなくてはなりません。すくなくとも従来の「分解性」をうたった製品(=ごみ袋)は、いずれも効能をきちんと証明することができず、市場からほぼ消え去っているからです。また仮に効果があるものだとしても、焼却比率の高い日本では分解性袋の活用場所は非常に限られているという事実が存在します。 ここ日本では、特殊な効能をうたう製品が出るとそれに自治体が安易に飛びつき、現実に広まってしまうという怖さがあります。それを私たちは危惧していますし、「ちょっと待って! ほんとにそれでいいの?」と警告を発したい思いなのです。現在当会では、JR東日本ほかの関係先に連絡をとり、照会を求めているところです。結果は、逐次このページで報告していきたいと思います。(もちろん効果に納得がいけば、そのことを公にしていきます)
函南町、指定袋を検討か? 【6月8日=馬場】函南町環境衛生課の戸川氏から電話がありました。内容は、「指定袋を検討しているので色々と教えてほしい」というものです。 戸川氏は、「袋の色・透明度・厚さ・強さの設定はどうすればいいのか?」「その基準となる資料は何かあるのか?」「炭カルは入れるべきかどうか?」といった規格に関することから、「メーカーの指定はどのようにしたらいいか?」等まで一度にたくさんのことを聞いてきました。 どうも、“始めに指定袋ありき”で話を進めようとしています。それもよく研究していないままに。 そこで、パンフレット「指定ごみ袋の是非を考えませんか?」が手元にあるかどうか確認しました。案の定、「見覚えありません」という返事が返ってきましたので、「まず、パンフレットを一度見てみて下さい。それをよく読んだ上でご質問があればご連絡下さい」とパンフレットを送ることを約束しました。 函南町は静岡県の東部に位置し、あの炭カル指定の三島市と今度指定袋導入を決めている熱海市に挟まれています。当社への問い合わせも三島市指定袋の認定メーカー一覧からのようです。「おたくでしたら、大手ですから色々ご存じかと思って……」と言ってました。 来週19日に熱海市指定袋の説明会があります。そのついでに伊東市も含め、函南町に足をのばそうかと思います。
またも前回と大差、北九州市入札
【6月9日=千田】当社(日本サニパック)としては2回目の北九州市指定袋の入札に参加してきました。 結果は寒川(かんがわ)商事が総計2940万円で落札しました。内訳は指定袋大が枚当たり5円60銭、小は4円20銭です。 当社は総計3615万円で応札し、20社中11番目でした。 ちなみに大手製造メーカーの入札価格は以下でした。
枚数は同じでありながら、落札金額が前回より905万円も下がっています。今回2940万円で落札した寒川商事は、前回は益山商工、大倉工業とまったく同額の4952万5000円の7番目した。どうなっているのでしょう。ちょっと理解に苦しむ結果のようにも思えます。
千葉県内での指定袋の販売方法を調べる
【6月5日=馬場】「小売店が指定袋を取り扱う場合について」を中心に各市町村の状況を調査しました。 ポイントはつぎの二点です。 調査したのは千葉県内の指定袋をもつ自治体すべてではありませんが、徐々に調査を進めたいと思います。また、「指定状況一覧表」をより充実したものにするため、備考部分にも追加していきたいと思います。このような小売店側の立場に立った情報はきっと量販店バイヤー等にも喜ばれ役立つことでしょう。
●茂原市 環境保全課
●成田市 クリーン推進課
●東金市 環境保全課
●八日市場市、野栄町、光町、多古町(一市三町で構成の環境衛生組合 0479-72-3036)
●旭市、干潟町、海上町、飯岡町(一市三町で構成の東総塵芥処理組合 0479-62-0955)
●流山市 リサイクル推進課
●鎌ヶ谷市 クリーン課
●富津市 環境センター 0439-37-2020
●四街道市 清掃計画課
●八街市 生活環境課
●酒々井町 生活環境課
●富里町 クリーンセンター 0476-93-4529
●印旛村
●栄町 環境保全課
●下総町、大栄町、栗源町、神崎町
●大網白里町 環境衛生課
●九十九里町 環境課
●成東町 環境衛生課
●山武町、蓮沼村、松尾町、横芝町、芝山町(山武郡環境衛生組合 0479-86-3131)
●一宮町、睦沢町、長生村、白子町、長柄町、長南町(長生郡広域市町村圏組合 0475-23-4944)
●大多喜町 環境センター 0470-83-0331
●夷隅町、岬町(夷隅町岬町清掃組合 0470-86-3721)
●御宿町 環境衛生課
●大原町 クリーンセンター 0470-62-3942
●丸山町 福祉課
与野市で指定袋導入経緯を聞く
【6月3日=馬場】小塩、小野、馬場(いずれも日本サニパック)の3名で市民環境部の諸橋氏を訪ね、2時間にもわたり色々と話をしてきました。目的は与野市指定袋制度の内容とそこへのビジネス参入の可能性を詳しく聞くことです。 指定袋制度の内容については懇切丁寧に説明をしてもらい、導入に携わってきた諸橋氏の熱意がよく伝わってきました。(“熱意”が伝わってきたのであって、“指定袋”を認めたわけではありません) 内容は「月刊 廃棄物」5月号に書かれてあったこととほぼ同じです。諸橋氏は「このシステムは与野市だから出来た」ことをしきりに強調していました。つまり、有料制指定袋の定着は、市の面積や地域性、住民性、ごみの組成等が重要なカギを握っており、与野市の場合はそれぞれの条件がハマったというのです。 有料制指定袋導入の結果、ごみ収集ステーションがきれいになり、近所付き合いが活発になり、ごみの総排出量が一割減ったそうです。懸念される不法投棄も数件しかなく、全て順調という、聞けば満点の内容です。 与野市が指定袋の導入を検討していた頃(1992年〜95年)は、ちょうど東京都の「炭カル騒動」が起きてる時期と重なっていたためか、地元で報道されても別段メーカーの売り込みは無かったそうです。そこで地元にある佐藤化学とライファン工業の2社に諸橋氏から話を持ちかけ、仕様規格等を決めたと言ってました。 次にビジネス参入の可能性ですが、残念ながら与野市では無理のようです。 「今まであった商売が取り上げられてしまうんです!」「特定業者だけではなく商売の機会は誰にでも公平にあっていいはずです!」というこちらの言い分に対して十分な理解は得られたものの、諸橋氏は「折角定着してきたものを(袋製造の業者も含めて)正直言って今はいじりたくないんです。どのみち浦和市、大宮市と合併されれば(2000年4月1日に合併の見込み)このシステムでは無理ですから。それまでですから」と言ってました。 現在は佐藤化学の独占状態になっています。佐藤化学は与野市に対応するため、社員を2名ふやしたそうです。契約は入札や見積もり合わせではなく、都度単発の随意契約を結ぶという形です。だからといって、特に不正や癒着があるという感じは受けませんでした。 「ちっぽけな市ですから商売的に旨味はないですよ」とも言ってましたが、指定袋の売価、小売店の手数料を考えると、本当はとてもおいしい商売かも知れません。(価格のことを聞き忘れたと気付いた時にはもう帰り道でした) 諸橋氏には「そういう業界の事情が事前にわかっていれば違う結果になっていたでしょう。事情を知らない担当者が決めてしまう前にどんどん自治体をまわった方がいいと思いますよ」と勇気づけられ(?)ました。
入札行われていない町役場の指定袋 【6月23日=勝田】山田食器(仮名)社長とN町(仮名)役場で待ち合わせ、生活環境課を訪問する。N町は鹿児島市に隣接しており、人口8000人、世帯数3000、山田食器社長が住んでいます。指定袋を採用しており、山田食器社長は獲得を考え、訪問した次第です。 採用している指定袋は可燃1種類・不燃3種類(缶、ビン、その他)の4種類。有料収集です。 可燃は45L(04)透明、印刷入りの平折り、一枚@\50で販売しています。一回の製造数量100,000枚、入札ではなく、見積もり合わせによって発注していると言っていましたが、見積もり合わせは嘘でしょう。 不燃3種は日本フィルムの安全クリップ付き(05)、缶(ピンク)、ビン(青)、その他(透明)、各\30/枚。一回の製造数量は30,000枚、入札、見積もり合わせもなく、日本フィルムに発注しています。 近隣6町で清掃工場を使用しており、平成11年度には新清掃工場が完成予定だそうです。広域の指定袋も検討中であるとか。現在、個々の町で指定袋を独自に製作・販売しています。ある町からの紹介で、安全クリップを採用。不燃ごみ袋の評判が良く、可燃も採用予定にあるそうです。 しかし、驚きました。有料収集を実施、指定袋の納入には入札もない。人口が少ないとはいえ、あまりにもいい加減です。日本フィルムは言い値で販売していると考えられます。小さい町単位で徐々にシェアを広げていると思うと腹立たしく思われます。 指定袋を諦めたからと言って、ただでは帰れず、町役場で使用しているポリ袋を総務課で確認しました。かさ袋、自販機用のごみ袋、小物ポリ(サニタリー、くず入れ)などを使用しています。納入に入札は全く行われておらず、山田食器より見積もり提出予定です。
秋田市不燃用指定袋の規格変更へ
【6月23日=馬場】秋田市環境部再資源課の四戸氏から電話がありました。 四戸 燃えないごみ用の指定袋なんですが、今、ミシン目入れてますよね? それを別のもので対応しようと考えているんですが……。 馬場 (やったーぁ! ミシン目入り指定袋撤廃か?) 四戸 ミシン目をパンチ穴に変更した場合、おたくは対応できますか? 馬場 ??? 四戸 市民から『ミシン目の部分が切れやすい』と苦情が多いんです。 馬場 心の叫び(何言ってんだ。切れやすくて当然じゃ。ミシン目が切れにくかったら意味無いんだから。大体、何で視覚障害者の判別用とはいえミシン目を採用するかね? あれほど反対したのに。それを今度はパンチ穴? いいかげんにしてくれ! どうせそれもどっかのメーカーの売り込みだろ?) 折角、対応しているミシン目も規格変更されてしまうようです。 馬場 当社でも、パンチ穴対応出来なくはありませんが、その場合は1枚取り出しは難しくなりますし、手折りになってしまいます。外袋もサイズを変えなくてはなりません。 四戸 製造承認期間は2年間ですし、指定袋の見直しも2年ごとにと思ってました。実は99年4月からPETボトルと缶の収集も始めるんです。不燃ごみ用の指定袋で。その文言も入れなきゃなりませんので、どっちみち今の不燃用の袋のデザイン(版)は変えていただくことになるんですよ。当然、猶予期間は設けますが。 馬場 本音を言わせてもらえば、当社としてはパンチ穴対応もしたくありません。でも、秋田市さんでは視覚障害者用に識別加工することは止めないのですよね? 四戸 そうです。 馬場 今まだ検討中ということは、こちらから提案することも可能ですね」 四戸 ええ、まぁ。 馬場 じゃ、こちらで少し考えてから提案させていただきます。 と啖呵を切ってしまいました。 ちなみに秋田市指定袋の中で、視覚障害者のために加工を施さなければならないのは不燃用30L,45Lの2種類だけです。
パンチ穴もいらない最上の方法、秋田市に提案へ 【6月24日=馬場】けさ、秋田市を担当する石沢さん、平石さんと相談しました。パンチ穴ではなく、当社から提案できる「視覚障害者の判別方法」を。 平石さんいわく「LDPEとHDPEとで分ければいいんじゃない?」 なーるほど! その手がありました。可燃用か不燃用どちらかをHDPEに変えてしまえばいいわけです。 それでもきっと「あーだ、こーだ」と言ってくるに違いありません(他メーカーのいいなりで)。 我々が以前何度も足を運んで顔つなぎした石川氏がまだ居れば話は早いのですが、電話してきたのは四戸氏ですから異動した可能性もあります。 ここは、電話で話すよりはきちんと会って説得した方が得策だと思います。四戸氏への顔つなぎも考えて7月9日に約束を取り付けました。
|
|