本文記事―98年3月

 


 
新体制の八王子市リサイクル推進課を訪問、「考える会」からの要望を再アピール

まずは安心−−担当者は慎重な構え

 

【3月27日=馬場】指定ごみ袋を考える会は武田会長、小塩、馬場の3名で八王子市へ行ってきました。応対してくれたのは清掃部リサイクル推進課の榎本主査、八木下主査、小松副主査の3名。

結論から言いますと、前回訪問時(97年6月20日)から、具体的な進展は何もない様子でした。つまりリサイクル推進課では97年6月3日の最終答申を受けてから、慎重に検討・研究をしている段階にとどまっている、ということです。ですから、ここ半年ぐらいのうちに急に指定袋導入という話はないように思います。

担当者が新メンバーになっているため一からの説明となりましたが、前任者の水越氏から資料等はしっかり引き継がれている様子でした。「考える会」のパンフレットには目を通していると言ってました。

もっぱら話の中心は小松氏で、物事を慎重に深く考えるタイプの方という印象を受けました。言葉の端々に「答申書の理解が先決」とか「基本的概念の捉え方が決まってない」「原点を模索している」「そもそも指定袋とは何なのか」等が飛び交っていました。また氏は情報収集にも余念がなく、「青梅市ではどなたと話しました?」「北九州市は?」「和歌山市は条例撤回したそうですね?」「東京都には注目しているんですよ」と相当色々と調査している感じがしました。ふつう他の市町村だと、安易な情報収集と拙速な判断が横行していてなかなかこうは行きません。本来はこうでなければならないなと感心させられました。

八王子市の担当者の方々は私たち業界の抱えている状況説明にもよく耳を傾けてくれました。取り組む姿勢も慎重だとわかり今回は一安心しましたが、やはり定期的な訪問や情報提供は必要かと思います。余談ですが、ここ(八王子市清掃部)へは様々な業者やメーカーが訪問しているらしく、ちょうど私たちの後には日本技研工業の人が来ていました。


 
高岡市10月から有料化、地元業者による一社独占体制へ

17万都市でフォロー大丈夫か?
既存のメーカー、卸は商圏喪失の痛手

 

【3月26日=大谷】高岡市がごみの有料化に向けて最終局面に突入していることが察知されたので当局にアポを入れ、私と地元卸大手の新和富山支店長沢野氏が訪問した。対応されたのは生活環境部環境サービス課の水本参事と本多主幹の二人。

事務局から事前に資料や記事などは送っていたので、本多さんも一通り目を通していたようだ。特に北九州市の記事には関心が強かったようで、詳細に突っ込まれた。

本多さんから「ごみの有料化の条例が昨日通りました」と開口一番言われたが、その後の話は水本さん主体で、話が詰まったら本多さんが口を出すといった具合で進行していった。 高岡市の有料化に至るまでの経過及び今後のスケジュールを、2人からヒアリングした中で下記の通り報告します。

  • まず、10月1日から有料化がスタートする。その為に8月頃に入札を行う。(今期に関しては半期分、来年からは1年分)
  • そのために今後1ヵ月で販売店や住民とのヒアリングを重ねていく。5月連休明けに販売店を召集して説明会を行う。
  • 有料袋は10、20、45Lの3サイズ。45Lの価格しか確認しなかたが、1枚40円(10枚で400円)。
  • シール制も高山市などに出向き検討してみたが、シールを故意に剥がすなどの問題も多々あるようで、最終的に指定袋にした。
  • 炭カルに対しては否定的(2人とも炭カルに関してはかなりの否定論者であった。以前、富山市が指定袋に炭カルを入れるか否かで検討しているとき、水本さんにも意見を求められたが「止めた方がいい」と意見を言い、富山の炭カル導入を阻止したと自慢げに話していた)。
  • 無償配布はしないので、袋は全て取扱店にて販売する。手を挙げた販売店は全て認める。(この中には高岡市は婦人会の組織がしっかりしていると言うことで、婦人会でも積極的に販売させるようだ。手数料は婦人会の活動資金に充てる)

ここで、我々が問題としたのは、入札に参加できる企業の条件である。水本さんによると、今後入札検討委員会で話し合うそうだが、基本的には地元企業優先となる。高岡市の各企業の状態が悪く、雇用も停滞。従って地元の活性が第一優先となる。また、問屋機能を持っていなければ駄目となる。取扱店に袋を納品できる業者でなければ入札に参加できない。有料化ということで、袋の数量の把握(○○スーパーに何冊納品したかなど)をきちんとしなければならないので、数社に任せるよりは1社に限定したほうが数量管理しやすいという理由からだ。

要は指定袋は地元の業者1社で製造、卸をこなすことになる。こちらが上記の件でいくら反論しても殆ど聞く耳を持たないので、また沢野支店長もスケジュールが詰まっていることで30分足らずで退散した。

その後、帰りの車の中で話し合った。沢野支店長の試算だと、人口17万の高岡市には、その規模からして小売店は約1000店舗以上存在するという(HC、GMS、SM、DRG、CVSあとは雑貨屋と呼ばれる店など含める)。

沢野氏「1社で1000店舗のフォローは絶対無理!半分の500店でも難しいよ。必ず失敗するよ」と思いっきり皮肉っていた。

大谷「仮に、落札した業者が高岡市指定袋を専門に納品する新会社でも設立した場合は、コスト的にどれぐらいで採算が合うのでしょうか?」

沢野氏「物流機能がしっかりした問屋であれば、通常は15〜20%の粗利で採算が合う。しかし1社で高岡市の殆どの小売店を、しかも業態がバラバラで一般商店も含まれてくると、最低30%以上なければ難しいと思うよ。まず当社じゃ対応できないけどね」

大谷「問屋のマージンを高岡市はきちんと算出しているのですかねー。沢野さん言うように30%の高マージンなら当然市側の手数料も減少しますね。それを15〜20%に押さえたマージンで押し通した場合、落札業者自体が経営危機に陥ってしまうでしょうね」

沢野氏「もう地元業者と談合は出来ているでしょう。皆が潤うように最終的には高い落札価格になるのではないか。そのために入札条件も規制強化しているのだから……」

大谷「これで当社(メーカー)も新和(問屋)さんも10月から商圏を失ってしまいますね。月間U41で約100cs、H46で200cs、計約80万円の売りが減少ですよ!」

沢野氏「……」

というわけで、高岡市の税金の無駄使い、それとまたも流通業界の不勉強を痛感した一件であった。


 
札幌市が半透明化で説明会、顔料の数値は設けないことに

 

【3月2日=千田】札幌市役所内において「中身の見えるごみ袋」の導入についての説明会が行なわれました。メーカー、卸の関係者約50名と報道関係も2社来ていました。結論は市販品の透明、半透明袋での販売可能ということです。

 今年初めに訪問した時は、半透明の顔料に対し数値を定めるかどうかが最終的に決まっていないということでしたが、結局定めませんでした。席上、清掃課長による質疑応答の中では、やはり「数値を決めてほしい(基準がほし

い)」という意見があがりました。すかさず私も挙手し、「インクや原料がメーカーによって異なり、同じ色は困難であるため、数値を定めることはやめてほしい」と発言しました。清掃課長は意見として聞きますと我々に回答しましたが、定めるつもりはないようです。

 半透明化は今月20日前後に議会決議をし、下旬に正式決定となり今年10月より完全施行されます。

市役所が決定した「中身の見えるごみ袋」の条件は次の通りです。

1)十分な強度がある事。

2)中身が容易に識別できる程度の透明度を有すること。

  高密度ポリエチレン製ー無着色程度の透明度

  低密度ポリエチレン製ー高密度と同程度以上の透明度

3)着色されている場合は黒・灰・茶等暗い色が使用されていないこと。

4)文字、図柄等がある場合は、それにより中身の識別が妨げられないこと。

残念ながら雑色再生原料の袋は対応できません。

 




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