本文記事【詳細】―97年9月17日

 


北九州市、部内では有料袋導入の意向が強固

 

▼電話によるやりとりの模様


9月17日、北九州市当局とアポを取るべく市に電話をかけました。代表でまず用件を告げると、環境局業務課にまわされました。出たのは業務課・松岡氏でした。

 

松岡氏との会話

小塩 こちらは業界11社で組織した指定ごみ袋を考える会という団体です。北九州市が有料袋導入を考えているということで電話しました。北九州市のような制令市が有料袋を導入しようした場合、流通面などに様々な技術的問題が予想されます。私たちはそのことを当局によく認識しておいていただきたいと思いまして、また逆に当局の考え方などもこちらとしては聞いておきたいもので、一度うかがってお話をお聞きできればと考えています。

松岡 一応、行革大綱によって方向性が決まったというだけで、実際内部では白紙に近い状態です。ですから今来られても……。で、問題とは一体どういうことですか?

小塩 指定袋を末端市民まで配布する方法としては小売店での店頭販売を想定されていますよね?

松岡 そうですが。

小塩 一旦製造したブツをどうやって各店舗まで配送するかという問題がネックになってくるのではないかと考えます。それが最大の問題です。規模が大きいために、卸機能を行政がうまくマネジメントできないのではないかと思われます。

松岡 北九州市では現在、粗大ごみをシールにより有料化しています。市内300余の販売店・コンビニ店などに「収納委託」という形で数パーセントの利益を与える形です。しかし、これに有料袋が加われば、ごみ袋は重いしかさばりますから、確かに難しくなると思います。

小塩 月に100トンからの量をコントロールしなくてはなりません。

松岡 現在、北九州市では市民に透明袋を各世帯に3カ月に一度25枚ずつ自治会経由で無料配布しています。年間3600万枚になります。これが有料袋になれば6000万枚くらいに膨れ上がるのでしょうか。そうすると確かに月数十トンずつ動くことになりそうですなあ。

小塩 そういうことなので、お会いして一度ゆっくりお話がしたいのです。どうかお願いします。

松岡 いざ実施となったときに業務を推進するのはこの業務課ですが、実は計画を組むセクションは別にありまして、計画課なのです。お話するならそちらの方が適切でしょう。もちろん、その場合は私も同席させていただきたいですが。

小塩 ではそうします。計画課のどなたへ?

松岡 電話番号は−略−です。そこに松岡係長とナラキノという担当者がいます。

 

佐藤氏との会話

という流れとなり、つぎに計画課に電話しました。係長は外出中とのことで、電話に出たのは佐藤氏でした。

 

小塩 さきほど松岡氏と電話で−略−というお話になりまして、一度うかがいたいと思いお電話差し上げた次第です。

佐藤 問題点とは? どういうことが考えられますか?

小塩 一番大きいのは流通をどうマネジメントするかという問題です。

佐藤 そのことならすでに承知しています。一般の店はいいとしても、コンビニ店では決まったベンダーしか受け付けられないという指摘を受けており、対応を探っているところです。ほかには?

小塩 ほかには、と言われましても……それが一番大きいのですが。(この時あまりアッサリと受け流されたので面食らってしまいました)

佐藤 そういう問題点があるのは承知しています。別府市のように立ち上がりで品物が間に合わないとか、そういう失態があり得ることも知っています。

小塩 卸の仕事をどのようにこなすのかが問題だと思います。政令都市で有料袋の流通管理に成功しているところはありません。

佐藤 政令市で有料袋を始めるのは北九州市が初めてになります。それは分かっています。難しくっても何でも、とにかくやるしかないと思っています。(上で)決まってしまったことですから、我々はそれをやるだけです。(非常にキッパリと言い切る)

小塩 これまで最大の規模で久留米市の23万人のはずです。

佐藤 久留米市では自治会にやらせてるんでしたっけ? さすがにあれは問題ありそうですね。うちもあれをマネするつもりはありません。

小塩 有料袋を導入したほとんどの自治体では、卸業者の選定が公平に行われていないように見受けられます。フタを開けてみると、なんでこんな業者が!とびっくりさせられるケースがままあるのです。正直言うと、そうなる事態を我々は憂慮しています。

佐藤 うちでもそうなる可能性もあります。それは否定できません。大勢の市民の利便性を考えると、そうせざるを得ないという判断も出てくることが考えられます。

小塩 ……。(ここまで居直られると、もう絶句するしかない心境です)

 

佐藤 ありとあらゆる問題点を検討しているとお考えください。古い事例も最近の事例もみんな研究しています。

小塩 ……。

佐藤 すでに北九州市では粗大ごみのシールを市内300店で扱ってもらっています。これの枠を若干広げた店舗数で有料袋を販売してもらおうと思っています。一つの地区に手を挙げた店が4店舗あったとしても、そのうち3店舗にしか扱わせないということはあり得ます。物流だけは業者に委託します。それで大丈夫です。

小塩 100万都市でたったの300店舗なんですか?(これには驚き)

佐藤 そうです。

小塩 シール制にする考えはないのでしょうか?

佐藤 それは考えられません。すでに粗大ごみ用でシールが4種類もあり、それにまたシールが加わると市民が混乱する心配があるからです。おたくの(考える会)の資料は前に目を通したことがありますが、確かに言っている内容には同意できます。個人的には袋に印刷を入れるのはナンセンスかなと思います。しかし指定袋にするのには、黒い袋の使用をやめていただくためという総合的判断も含まれています。黒い袋は作業員の怪我の原因になり……。

小塩 ちょっと待ってください。そこの部分は話がよく分かりません。黒い袋を追放するのでしたら、なにも印刷した袋を導入する必要はないのではありませんか? 市が指導しさえすれば……。

佐藤 だから指導してますよ〜。スーパーには透明袋を置いてくれって、ずっと前から頼んでますよ〜。でも、お客が黒を買い求めるからっていって、図々しく黒を置き続けてるじゃありませんか〜。(ここのところだけはいやに感情的)

小塩 そのお言葉は意外ですね。店に言っても効果は薄いかもしれませんが、市が住民に直接アナウンスすればうまく行くはずです。そうやって熊本市も金沢市も前橋市も全国の県庁所在地が黒から透明への移行を成功させています。

佐藤 100万都市で黒をやめたところはないでしょう。東京都も仙台市も千葉市も指定袋じゃないですか。(た、たしかにそうだが……)。100万都市では無理なんですよ!

小塩 決してそういう問題ではないと思うんですが……。(単にたまたまそうなだけではないだろうか。認識にギャップを感じる) 

佐藤 指定袋には集積所の美化を目的とする側面があるのです。お金を取るのが目的ではないのです。だから指定袋の値段も、せいぜい袋の実費程度の抑える方針です。

小塩 (これ以上は水掛け論になりそうだったので突っ込むのはやめにしておく)。わかりました。お考えはよ〜く承りました。では、あと最後に一点だけ言わせてください。

佐藤 何ですか?

小塩 ご存知かもしれませんが、ほかの自治体では炭カル入りとか活性フェロキサイド入りといった特殊な効能を謳った素材を採用しているところがあります。ああいったものは、すべてまともな効果が期待できるようなシロモノではありません。普通のポリエチレンが一番です。そこのところをよく認識しておいてください。

佐藤 それも分かっています。とっくに研究済みです。(ニクニクしい言い方)。ですが……分かっていて採用するという判断もある可能性があります。そういう効果を持つといわれるものを採用する姿勢が大事であるという考え方もありますもんで。そういう素材に何故しないんだ?と言ってくる人が周りに大勢いますもんでね。個人的には効果がないのは分かっています。しかし、そのことを世の中の人は全然知らないじゃありませんか。困るんです。そう仰るんなら、あなた方がもっと広報してもらわないと。マスコミだって、新しい素材が採用されたっていい記事は書くけど、叩く記事は書かないじゃないですか。どうにかしてくださいよ。

小塩 しないと決めたわけではなくて、我々としてはこれからまさにやっていこうとしているところなんですがね。(苦笑)

佐藤 どうも、言いたいことばかり言って申し訳ありませんでした。現在は議会対策で忙しく、あらためてお会いするだけの時間を取ることができませんが、また何か分からないことがあったら電話でお聞きすることがあるかも知れません。そのときはよろしくお願いします。

小塩 いえいえ、はっきり仰っていただいて、こちらとしても本音のやりとりができて助かりました。もし私たちにお教えできることがありましたら、何なりと仰ってください。出来る限りのことはお知らせいたします。そして、こちらからも時々は連絡を入れることになると思いますが、そのときは私たちにまた状況を教えてください。よろしくお願いします。

 

−−ガチャ。

 

◆感想−−好敵手現る

 いや〜〜、佐藤氏はやり手でした。かつて相手にした役所の方々の中で最強といってもいいかもしれません。こちらの手の内を全部見透かした上で、容赦なく言葉を畳み掛けてきます。それに役人にしてはヤケにはっきりものを言う人です。喋る内容はこちらにとっていちいち嫌味ですが、これだけはっきり表現してもらうと、かえって気持ちがいいものです。

 なんて言ってる場合ではありません。向こうは確信犯的犯行に及ぼうとしています。業者の都合なんか関係ない、なりふり構わず有料袋制にまっしぐら行くよ、というスタンスなのです。そのことが今回の電話ではっきりしました。これをどう食い止めるのか……現時点では良案が浮かんできません。

とりあえず、お互いにはっきりモノを言った割には最後はオトナに変身して、佐藤氏とは比較的なごやかな雰囲気で電話を切ることができました。今後も継続的にコンタクトをとっていけそうです。しばらくは次の手を考えるとしましょう。

  



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