本文記事2001年12月
【10月19日=小塩】
日報(大阪)の記者から当会も取材を受けたところで、週刊「循環経済新聞」12月10日号にごみ袋透明化問題に関する記事が載りました。記者の許諾を得て記事全文を紹介します。 ごみ袋透明化の弊害 一昔前は全国的に黒色のポリ袋が普通だったごみ袋だが、近年は透明や半透明に押されている。容器包装リサイクル法などの出現により、自治体の分別収集が進んだ結果だが、これまで原料として使われてきたごみ袋の端材が余ってしまうなど、弊害も出てきている。 国内の主なごみ袋メーカーで組織する「指定ごみ袋を考える会(事務局・東京、03−5465−2124)の調べでは、特に資源物について、現在、ほとんどの市町村が透明・半透明袋を指定しており、可燃や不燃ごみの扱いでも半数程度の自治体で透明・半透明が使用される傾向にあるという。 一方、ごみ袋の透明化が浸透したことで意外な弊害も起きている。これまで、ごみ袋メーカーなどから出る端材や規格外品などのポリエチレン(PE)くずは、顔料を加えることで黒のごみ袋の再生原料に回っていたのが、需要の減少で行き先が失われてしまったことだ。 さらに最近は中国など海外から安価なバージンPE原料や製品が流入しており、ごみ袋メーカーにとっては価格競争と利益圧縮の苦境の中で、これらPEくずの余剰分をコストをかけて処分することは厳しい選択になった。 再生ごみ袋と自治体の偏見 同会では今、PEくずを再生利用した「雑色半透明ごみ袋」を推奨している。PE再生原料の色をそのまま使うため、グレーの色は安定せず雑色≠ノなるが、「透明度」や「強度」とも問題はないとのことで、徐々に各地で使用されるケースが増えてきている。 多くの市町村は「半透明」ならば特に袋の指定はしないという姿勢だが、再生ごみ袋の評価については、「まだらで外観が悪い」「強度が不安」「市民からの声が心配」など雑色に対する偏見≠熏ェ強く残っているようだ。 他方、北海道旭川市や神奈川県川崎市、石川県金沢市では再生ごみ袋を受け入れており、同会の担当者によると「金沢市の例では半透明袋の導入の際、見本として再生袋を展示したことから、相当数の割合で市民が抵抗なく、ごく一般的に使用している」という。 また、再生ごみ袋のユニークな事例では、樹脂リサイクル会社や化学メーカーが協力してPETボトルを原料に製品化に成功した例もあり、すでに兵庫県伊丹市では容器包装プラの分別収集用指定袋に採用、無料で市民に配布している。 廃棄物のリサイクルや環境保全を啓発・推進する立場にある自治体は、影響力が大きく、ごみ袋の種類を選ぶ主導権も自治体にある。コストや経済性も大事だが、社会的責任という観点からも、再生製品に対する前向きな対応が求められている。 |
|