本文記事2001年10月

 


 
「国産限定」で出発する宮崎市有料化

【10月15日=出口】宮崎市指定袋有料化の件について正確な情報を得るため環境業務課を訪問した。先般9月議会で2002年6月1日から正式に宮崎市の家庭用ごみ袋が有料化(入札制度)となることが決定した。種類は、可燃(HD)、不燃(LD)とも大40L、中30L、小20Lの計6アイテムで、全てレジ袋タイプ。売価は40Lが400円、30Lが300円、20Lが200円となる予定。資源ごみは透明・半透明の袋で従来通り無料回収する。

注目すべきは、「国内製造品に限定する」点で、海外製品は不可。「海外製品の品質や納期に問題があるとは感じないが、万全を期したい」(松浦主幹)との返答でかわされた。無料サンプルは5月に市から各家庭に配布される予定。配送業者も入札制度で選定されるとのこと。小売店手数料は、「1枚いくら」「固定分+1枚いくら」「売上×3%」などいくつか案があるが、今後決定する。

今回の訪問で、宮崎市の市場縮小が避けられないことが明らかとなった。福岡市や長崎市のように認定制となることを望んでいたが、結果はこのようになってしまった。今後の営業活動は、この点をベースに対応していかねばならない。



高山市のシール方式を聞く

【10月19日】指定袋ではなく、シールによりごみの有料化を実施している岐阜県高山市(人口67,000人、23,000世帯)市民環境部環境資源課の高原所長に話を聞いてきました。

もちろん興味はシール制による有料化の導入方法ですが、ごみ有料化に対しても、一定量までは無料収集とし、「それ以上は有料になりますよ」というインセンティブを与える段階的なやり方なので、よくある有料化→有料制指定袋販売→収集手数料徴収という図式とは違い、住民の負担も少ないと思われます。

噂には聞いていましたが、有料化の有効な手段(手本)となりうるであろうシール制の導入方法は、大変参考になりました。以下、内容を記しますので参考にしてください。

【導入経緯】

<時期> 平成4年度〜

<目的> ごみの減量化

<背景> 既に近隣町村では有料制指定袋を導入

<状況>
可燃・不燃の2分別。可燃は袋収集、不燃はコンテナーBOX収集。排出段階においても分別が徹底されているため、市民のモラルは高いと考えられる。

<検討内容>
基本的には無料収集をし、一定量以上は有料化するという考え。その手法は「袋」と「シール」が考えられるが、制作費(財政面)と配送の手間(業務面)から、シールの方が有利という判断。

<結果>
状況、検討内容からシール方式を採用。ただし袋については45Lサイズ以下という条件つき。当初は中身の識別が出来るように透明または半透明袋という考えもあったが、市民のモラルの高さから価格的に安い黒ポリ袋でも使用可能なサイズのみの指定となる。袋の指定は必要ないという判断。

<方法>
毎年年度始め前に、住民登録に応じて各世帯毎に無料収集シール(可燃ごみ処理券)を配布。枚数は家族構成によって異なる。シールが無くなった場合は有料収集シールを1枚100円で購入してもらう。 無料シールの配布は市の専門員(国保年金収集員、水道水検針員の23名)に委託している。シールは年度毎に印刷色を変え、余った場合は市で回収する。それは10円/枚で換算してリサイクル商品と取り替えられる。と同時に、各世帯への配布枚数が適正かを調査する。

<種類>
・ 無料可燃ごみ処理券
・ 有料可燃ごみ処理券 (100円)
・ 無料資源ごみ処理券
・ 有料資源ごみ処理券 (100円)
・ 粗大ごみ処理券 (500円)

シール購入は毎年入札にて決定する。版権は高山市が所有。

【効果】

導入開始の平成4年度は約9%減。その後、微増が続くが、平成7年、10年、13年と無料配布シールの数量を減らしているため、比例してごみ量も減少。

実際に有料収集シールを購入しているのは、店舗兼住居といった小規模な商店の事業者。本来は事業系ごみにあたるため清掃工場への直接搬入もしくは許可業者との契約が原則であるが、排出量が僅かなことからごみステーションへの排出を認めている。

<処理券シールの販売実績(平成12年度)>

有料可燃ごみ処理券 (100円) 300,000枚
有料資源ごみ処理券 (100円) 60,000枚
粗大ごみ処理券 (500円) 10,000枚

<資源ごみに推奨袋>
平成9年度10月より、カン、ビン・ペットボトルを対象に推奨袋+シールで収集を開始した。不燃ごみは従来通り、市内650ヶ所に常設しているコンテナーBOXで収集。

袋に関しては、印刷を施した推奨袋が存在するが、基本的には30Lサイズ以下で透明であればよい。実態はほとんどが推奨袋で排出されている。推奨袋の製造は申請があれば自由に参入可能。

シールは可燃ごみ用と分けるために、形状を三角にしている。可燃ごみ用は長方形。

<余談>

資源ごみは「缶」と「びん・ペットボトル(一緒)」だけの2分別。最終的には、缶はさらにスチール缶、アルミ缶と分けられ、びんとペットボトルも分けられるが、これは(1)市民の排出の煩わしさを軽減させる、(2)その分別作業を身障者に委託(雇用促進)という目的で、工場側で分別している。

シール制導入による不法投棄は無い。近隣町村が有料化を実施していることと、市民に有料化という意識が無いため。

今後については「容器包装リサイクル法を機に分別が細分化されることから、『プラスチック容器包装類ごみ用袋』や、可燃・不燃ごみ(不燃ごみ用のコンテナーBOXの撤去も予定している)についても、今後は袋の規格(厚み・大きさ)を検討していくこともあり得る(=指定袋導入?)」と言っておられましたが、採用するとしても住民定着の状況から、資源ごみのような推奨袋+シール方式の可能性が高いと思われます。



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