本文記事2001年3月
自治体のエコマーク優遇に疑問の声 【3月23日=小塩】4月から施行されるグリーン調達法の影響で、官公庁からのごみ袋の引き合いの際に従来以上に「環境配慮型」を求める空気が強くなっています。ここでごみ袋の場合、「環境配慮型のごみ袋とは何なのか?」が問題となってきます。 同法により、国の各機関では、来年度から環境省の定めた「基本方針」に即して「調達方針」を定め、実施しなくてはなりません。自治体では義務は課されませんが、同様のことを行うのが努力目標であるとしています。今のところ環境省はシャープペンシルや朱肉といった細々した物品にまで基本方針を定めていますが、ゴミ袋に関しては何ら指針を明らかにしていません。「環境負荷の低いゴミ袋とは?」の基準は白紙状態にあると言えます。 そんな中、自治体の一部でエコマークを購入基準に採り入れようとする動きが出て始めています。実際ある県庁では、エコマーク取得商品である二社の製品をあからじめブランド指定し、ごみ袋の見積り合わせを実施しています。最近こうした動きを危ぶむ声が業界内で高まっています。環境省に確かめると、エコマーク制度は日本環境協会が定めた「任意の基準」に過ぎず、グリーン調達法はエコマーク制度とは関係がないと明言しています。「任意の基準」に基づくマークを取得しないと公的機関の選定の対象から排除されてしまうとしたら、そのことは誰の目からみても妥当性を欠くと言えましょう。 実際、環境省の担当者は「適当でない」との見解を打ち出しています。市町村がエコマークを購入基準に採り入れる事例に接した際、環境省では「WTOの規定に抵触する可能性があり、危険ですよ」と助言をしているそうです。 メーカーの立場からしたら、たとえ環境配慮型の製品を売ってたとしても、おいそれとエコマークを付加するわけに行きません。パッケージの改版代に1品目5〜20万円程度かかってきますので、会社の保有する品目数にもよりますが、厚さ・サイズ・材質のバリエーションを考えた場合には数十万円から百万円単位のコスト負担が各社に発生してきます。
また、ごみ袋におけるエコマーク認定基準は再生原料混入率ですが、2000年5月の基準改訂からそれまでは認められていた同一工程内で発生する再生原料が算定対象から除外されており、同時に透明度が求められることとなっため、一般的な工場での調達事情を考えますと、透明のゴミ袋を作ろうとした場合、基準に合致した製品を作るのがより困難となっています。そうしたことから、基準変更のねらい・真意がどこにあるかという問題とは別のところで、結果的に後発メーカーが新規にエコマークを取得するのが難しいなか以前の基準で先に取得した商品だけが入札参加を許されるという不公平な形となっており、競争機会の公平という点から自治体当局の下した判断が業界に波紋を投げかけています。 自治体担当者には「判断が容易だから」「そうしておけば波風たたないから」という安易な理由でもってエコマークを基準に導入するようなことは是非とも思いとどまっていただきたい、というのが業界人の切なる願いです。 |
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