本文記事2000年9月

 


 
小規模事業所向けの指定袋
川崎市が特殊素材を認定

【9月20日=小塩】川崎市が9月から小規模事業所を対象に指定袋を導入しました。指定袋の取扱いメーカーは福助工業と環境クリエイトの2社に限られています。福助工業はゼオライト混入の素材が、環境クリエイトは古紙混入の素材が、それぞれ採用されました。市は特殊な機能のある袋しか認めない方針であるとのこと。

どういうことか確認するため、環境局減量資源課を訪ねました。訪問してまず、木村氏(主査)から今回の判断に至った事情をうかがいました。

◇木村氏からの説明要旨
今回、事業所向けの指定袋は市内4万7000世帯の小規模事業所しか対象とならないので、最大売れたとしても年間500万枚程度にとどまる見込み。現実は指導が徹底すると限らないので初年度は100万枚程度にとどまるであろう。

そうした数少ない量を普通のポリ袋で供給すればコスト高となる。市としては、店頭価格が高止まりして購入ユーザーから不評を買うことを恐れた。ちなみに市が現状の市販品で平均的と認識している価格帯は120円(10P)である。そうしたた中、環境クリエイト、福助工業と相談したところ、頑張れば150円程度で販売できそうだという感触を得た。それならば妥協できる範囲と判断し、市は両社の認定に踏み切った。

それについて私から業者の立場として意見を述べました。

◇小塩からの意見要旨
まず数量が同条件ならば、普通のポリ袋が特殊なポリ袋より高くつくとは考えられない。特殊な製品に集約させれば売価を抑えられると期待した市のねらいは、見当外れであったように思われる。また、4万7000世帯という規模はビジネスチャンスとしては小さくなく、指定袋であっても十分にこなれた価格で流通しうる条件だ。その世帯数なりの規模で売れさえすれば、一般市販品並みの価格で店頭に並ぶであろう。この場合の鍵は、事業所が指定袋を使うよう市が指導を徹底しきれるかどうかである。もし使用率が上がらなければ、価格が云々という前に回転率が低迷し、早晩定番カットとなるだろう。そもそもごみ袋において品揃えや売価決定の主導権は小売店が握っており、メーカーが価格帯について行政に約束できるような立場にないはずである。

どうも話を聞くと、川崎市が特殊な製品を選んだ理由は、その機能に期待をかけてというよりは、価格管理(低く抑えたい)が特定素材メーカーに委ねれば実現できるであろう・・・というふうに考えたからであることが分かりました。そこには業界に対する認識不足があった事を木村氏は納得してくれました。

「ダイオキシンを抑制する」や「発熱量を抑える」といった機能が、川崎市の大局的な処理事情からみて期待するに値しないことは、木村氏もはじめから認めていました。政策を決める場では、実際的な有効性の有無などには端から注意が払われなかったようです。そうは言っても、川崎市が公にゼオライト混入や古紙混入の素材を優遇しているのは動かしようのない事実です。世間では当然、行政がそれら素材にお墨付を与えたとものと取るでしょう。川崎市ほどの都市があんな無用なものを認めたとなれば、ほかの自治体への影響が懸念されます。当会として黙って見逃すわけにはいきません。

私は用意してきた文書を木村氏に提出し、「練り物」で特色を出した一連の製品にはどれひとつとして普通のポリ袋に優るものがないことを力説しました。幸い木村氏にはこのことをすぐ了解いただけましたが、しかし時すでに遅しというのでしょうか、すでに動き出してしまった方針を撤回するのは困難ということでした。

木村氏は、今後市が一般住民向けの袋に特殊素材を推奨するつもりはまったくないこと、小規模事業者に対する手数料控除制度の改定が数年内にあるかもしれないので、その時は必ず素材変更を行うつもりでいることを明言してくれました。これは氏が当会のスタンスを認めてくれた証しであると私は受け取りました。

また、川崎市の今回の決定に問題があることを世間にPRしていかざるを得ない当会の立場について、木村氏は理解を示してくれました。木村氏の是々非々をわきまえた大胆かつ誠実な対応には、心中感心させられました。


 
更埴市が有料化でバーコードシール導入

【9月27日=村山】ごみ袋貼付用バーコードシールについて、今後の可能性を伺いに更埴市に行ってきました。我々が知りたかったのは、なぜわざわざ世帯毎にバーコードを付与したシール制を採用したのか?です。

更埴市は人口約5万人で、本年4月から全国に先駆けて家庭用ごみ収集に「世帯毎バーコード印刷したシール制」を採用して話題となりました。この「世帯毎バーコード印刷したシール制」を開発したのは日経産業新聞によると「ウェブス(港区)」さんで、販売はウェブス/アド・メルコ/国際紙パルプ商事といった会社とのこと。

システムは以下です。

  1. まず12,000世帯の世帯情報(世帯主、構成人数、住居エリア等)をホストコンピュータに入力してバーコードナンバーを付与する。
  2. 更埴市は世帯人数別に決められた年間使用枚数(可燃100枚/不燃5枚等)を無償配布する。
  3. 住民は指定袋(NBではなかった)に自分の名前が印刷されたシールを貼ってごみを出す。
  4. 作業員は回収時にバーコードをスキャンしながら回収していく。
  5. 回収したバーコード情報をホストに移す。
  6. 世帯人数/居住エリア等によってごみ出しの頻度がどれだけ下がっているか等の分析が簡単に出来る。

というものです。分析結果を将来の有料化に役立てたいという狙いと、住居エリア毎にごみ減量状況を競ってもらい、最終的に全体のごみを減量化したいといったことを想定しているそうです。

しかしこのシステムは小規模自治体でのみ有効かと思われます。なぜならば市民は手持ちのシールを使い果たしてしまった際に、追加のシールを有料で買うことが出来ますが、これがいちいち市役所の生活環境課、つまりホストに接続されたシールプリンタが存在する場所まで出向いていかねばなりません。

我々が着目したのは小規模指定袋でしか機能し得ない「バーコードシール制」を、例えば事業系民間収集業者の合理的な収集業務に役立てて応用できないかといったことです。またこうした合理的なシール制度が、プリペイド袋で料金徴収している家庭ごみ有料化の自治体へも広がっていけば、市民も流通関係者もメーカーも、また管理する自治体も、皆もっと仕事がスムースにやり易くなるのではないかといったことです。この分野は継続的にリサーチしていきたいと思います。



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