本文記事2000年6月

 


 
住民から指定袋要望の声

「指定袋あったほうが分かりやすい」

【5月16日=小塩】某30万都市のごみ対策課の担当者から相談依頼があり訪問した。仮にD市とする。D市は現在、可燃は黒袋が主流。資源ごみは昨年から「中身の見える袋」とした。市民会議に指定袋制度を諮っているところで、当局としては来年にも認定制の指定袋を導入する方針を固めている。作業をどう進めるか検討している最中である。そこへ当ホームページを見て連絡してきてくれたのだ。

D市には住民から「中身が見える袋をと言われても何を買えばいいのかよくわからない。指定袋があったほうが分かりやすい」という声が届いているという。そこで当局が市内各店に指定袋の扱いを打診したところ、「行政の決めたことには従う」という返事が返ってきている。しかも、いろんなメーカーからは「でんぷん入り」や「酸化鉄入り」等、指定袋の売り込みを盛んに受けている。担当者は「指定袋はするものだ」という情報ばかりに囲まれていたようだ。そこへ当会のホームページを見たものだから、担当者の目にはこれが特異というか、新鮮に映ったようだった。

私は担当者に当会のスタンスを次のように伝えた。「当会は指定袋に否定的な見解を保持しているが、かといってD市が指定化することが不可能であるとは考えていません。実施しようと思えば余程のミスを重ねないかぎりうまく行くでしょう。それは多くの先例から明らかです。我々業者は行政に引きずられる立場なので最終決断には従うだけです。また指定化なさる場合には当会としてもプロの立場からアドバイスを必要十分にさせていただくつもりです。ただし決定する前に、これだけは聞いておいていただきたいということが何点かありますのでどうか耳を傾けてお聞きください」

●指定袋への本質的な疑問
(続く)「指定袋は、印刷工程がリサイクルの妨げとなり環境負荷を高めています。製造時には段取り替えが多く発生するし、流通面、保管面での効率悪化も避けられない。社会全体として膨大な手間・費用を生じさせているのが指定袋制度であるが、業界はそれを受容するべきなのだろうか? 「住民の意識に訴える」のような効用があるにしても、マイナス面と比較して釣り合いが取れるのだろうか?」。そうした問題提起させていただいたところ、当方と先方とではやはり考えに隔たりがあり折り合いはつかなかった。いくらなごやかな話し合いであっても、社会的立場や持てる経験・情報が異なる同士では考えを収斂させることは難しいものである。

●材質の問題
環境にやさしいごみ袋としては、何の変哲もない普通のシンプルなポリエチレン製がベストであり、余計な練り物に益はない。その上再生原料が多く投入してあれば尚更よいはずである。そうした点をアピールさせていただいたところ、担当者は困惑の表情を隠さないのだった。過去にD市にダイオキシン抑制商品を売りにきた業者達とは全く逆のことを訴えているわけで、先方ではどちらが真実なのかにわかに判じがたいという訳である。たしかに無理はないだろう。残念というほかないが、役所にとっても住民にとっても信頼できるアンパイヤーが見当たらない無法地帯的な有り様が今日のごみ袋業界である。本来であれば、国か大学あたりがハッキリとしたコメントを出してくれると有り難い。

●制度を業者に周知する方法
担当者の関心は、これから指定制度の方針を業界にどうやってアナウンスするか?に集まった。D市ではPOF組合の会員名簿から関西のメーカーだけを拾い、通知するやり方を考えていたようだ。割合多くの役所が考える方法であるが、実際アウトサイダーが多いこの業界の実情からすると的外れであると言わざるを得ない。私からは「市内各店に相談をもちかける形をとれば、自然と情報は問屋を伝ってメーカーまで上っていくものですよ」と助言をする。(ただし大津市の場合はこれと食い違った事実があったそうで、説明に苦労した)

白熱した話し合いは昼休みに入っても30分ほど続き、ようやく終了した。D市とは今後も有意な交流を保っていきたいと思う。(無理解から出発したとしか思えないような、おかしな制度にはしないでほしいものである)



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