本文記事2000年4月

 


 
材質に余計な練り物はやめてもらいたい

【4月6日=金子】関東にあるA市を訪問。3月議会で有料化の方針が承認されたのを受け、これから具体的な袋についての規格材質、配送面などの詰めに入るという。

担当者に話を聞いた。これまで、当社に限らず、あらゆるところが売り込みにきたという。当社のように色々と情報交換をできるところはいいが、議員がつれてきたり、同和問題、政治的なものなでプレッシャーをかけてきたりと、その対応に四苦八苦してきたということである。

今のところ、袋の材質面についても白紙の状況であり、これからの検討し決めていくことになる。また配送面についても、契約業者に店舗配送まで含めた業務をさせるか、市内の公社やシルバー人材などにさせるか、という検討もある。市の仕事は市でまかなう、というようなことを言っている人もいるようで、なかなかまとまりそうにない。あらゆる面でのメリット、デメリットを考えて結論に結びつけていくことになるようである。

私としては、何度もいっているが、材質に余計な練り物はやめてもらいたい(他自治体においても炭カルや酸化鉄等、その効果の無さについての理解が違う)、再生原料使用を主体とした考え方がいいのではないか、ゴミ減量を期待するうえでは薄くてもゴミ袋の使用に耐える強度があればいいはずだ、という点を強調しておく。A市でも焼却施設には莫大な金をかけてダイオキシン除去装置をつけているので、袋にそのようなことをうたっている製品は必要ないという考えはあるようである。


 

生活産業新聞4月21日の記事を同紙の許諾を得まして転載します。

ゴミ袋
原料高騰対応が課題
輸入品は増える傾向に

 

ゴミ袋業界では「原料の値上げと製品への未転嫁」「ゴミ袋生産過程で生じるロスの生かし方、黒いゴミ袋の行方」などが現状課題として浮上している。

「国内では輸入のゴミ袋同士が価格競争を展開している。二度にわたる値上げが実施されようとしているのに」と大手ゴミ袋メーカーは話す。

昨秋にナフサ高騰を理由に原料ポリエチレン樹脂のキロ十円の値上げが実施された。今春もナフサの高値推移で同十円の値上げがゴミ袋メーカーには伝えられている。「半年にキロ二十円の値上げ。昨秋の分は製品価格に転嫁できていない。今春の値上げは認められない」とメーカーでは強調している。

小刻みな値上げは、ゴミ袋メーカーにとって対応しづらい金額だという批判もある。「むしろキロ二十円と一気に値上げの方が末端流通への説得力はある」と指摘する業界関係者もある。このため、今春の値上げをめぐっては、ゴミ袋メーカーと原料樹脂メーカーでさらに調整が行われるようだ。しかし、大手メーカーでは四、五年後には原料をめぐる内外価格差はさらに縮小され、問題にならなくなるのではとの見方も示す。

また、ゴミ袋の指定化は業界に不合理性と高コストを強いており、その対応をめぐって依然議論は活発に展開されている。特に透明、半透明のゴミ袋指定が進むことで、生産、在庫、返品過程で生じるロスを生かす方法が閉ざされた形になっている。

「マンションであれば管理組合の専従者が、町内であれば自治会の代表者がゴミ排出についてチェックしている」ことから、透明・半透明袋に指定が一度決まれば、黒いゴミ袋の登場はあり得ないのが現実のようだ。

「奈良市では昨年春から透明・半透明のゴミ袋の推奨が始まった。夏の段階では五割ぐらいが黒いゴミ袋だったが、今春には十割近くが透明・半透明のゴミ袋になった」と住民の報告。現在、黒いゴミ袋は大阪へ流れているという。ゴミ袋は依然、価格競争と利益圧縮からの脱出が課題となっている。

このためゴミ袋の高付加価値化ということから、使い勝手のいいゴミ袋の開発、生分解性プラスチックのゴミ袋、活性フェロキサイド配合でダイオキシンを抑制するゴミ袋、抗菌加工・忌避剤入りのゴミ袋などの提案が活発化。一部製品はその機能性が評価され自治体で受け入れられている。

ただ、これら高付加価値化のゴミ袋については業界内でも評価は分かれており、一部メーカーでは「灰色の半透明のゴミ袋を提案し、再生原料の利用の活路を示している。ゴミ問題を解決するのに、再生原料の活路を閉ざすのは矛盾している。また、ゴミ袋に高付加価値化は必要なのか疑問」と話している。

一方、ポリエチレン製袋(レジ袋、ゴミ袋)の輸入は、過去五年間をみても二倍に膨らんでおり、九九年で前年比一二%増の二二万トンになった。増加の理由としては「国内メーカーの海外進出」「国産と輸入物で価格差が一−二割あり、輸入物が割安」「大手量販店などのレジ袋の海外調達が増えている。量販店によっては八割を海外で手当てするところもある」などが挙げられる。ただ、輸入量のうちゴミ袋がどれだけの比率なのかは不明だが、増加傾向にあるのは間違いなく、数量は十万トン近くあるのではないかとの見方がある。

しかし、輸入数量は増えているにもかかわらず九九年の輸入金額は前年比五%減となった。円高、コスト低減化、原料安などで輸入単価(キログラム当たり円)が下落したことが理由。

ポリエチレン製フィルムの九九年国内出荷量は、高密度ポリエチレン(HDPE)が前年比五%増、低密度ポリエチレン(LDPE)も同七%増となった。HDPEはゴミ袋、レジ袋での用途が高く、需要が堅調であることを反映している。LDPEは用途が農業用、産業資材の包装関連が主力。不況の影響で農業用は前年比横ばいだが、産業資材向けは堅調である。

国内では自治体によるゴミ袋の指定化が推進されており、これに伴う対応がメーカーでは行われているものの、コストの負担増となっており、需要の堅調の一方で利益確保などで苦戦している。 



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