本文記事2000年2月

 


 
業界紙がレジ袋削減問題に一石

【2月22日=小塩】先ごろ業界紙『ポリオレフィン時報』に掲載された記事を転載します。記事は、世間で広がるレジ袋削減の動きに対し一石を投ずる内容となっています今回の問題提起を当ページを通じて広く伝えたいと相談したところ、発行元のポリオレフィン時報社から快く転載の許しを得ることができました。

ポリオレフィン時報(2000年2月17日発行)より−−

東京都が1万袋作成
買い物袋持参の呼びか

 スーパー、百貨店でのレジ袋の使用量を削減するため、買い物袋持参の呼びかけが、一部の地方自治体などで進められている。
 東京都では、1994年からマイバッグキャンペーンを推進。昨年10月のリサイクル月間では、携帯用に小さく折り畳める買い物袋(マイバッグ)を作成し、消費者向けのイベントで発表した。都では、1万袋のサンプルを作成し自治会、スーパー、市民団体などに配りマイバッグの普及促進を図っている。
 このマイバッグは、横380ミリ、縦は420ミリ。折り畳むと横120ミリ、縦130ミリまで小さくなる。ナイロン製で撥水、防菌、防臭加工が施されている。
 現在のマイバッグが作成されるまで、木綿製のマイバッグがキャンペーンに使われていた。しかし、かさばる上、多目的用途には向かず、特に若い層に「カッコ悪い」と不評だった。
 都では470人を対象にアンケート取り、若者の意見を取り入れて、現在の携帯用のマイバッグを作成した。東京都では「この袋を機会に、スーパーが新しい買い物袋をつくってもらえれば」(清掃局ごみ減量総合対策室)と話している。

矛盾はらむ推奨制度
レジ袋の役割アピールを

 だが、果たして東京都が考えるように「レジ袋=ごみ」なのだろうか。
 一例をあげると、横浜市では昨年11月、ごみ袋を半透明または透明のものを使うように市民に呼びかけた。缶、びんなど分別の徹底、危険物による作業事故の防止などがその理由だが、市内のスーパーはごみ袋だけでなく、レジ袋もいち早く半透明のものに切り替えた。消費者の要望に応えた形だ。このようにレジ袋が、ごみ袋として再利用されているケースは多い。
 ところが、ごみ袋に指定袋を採用している自治体では、レジ袋の使用は制限されている。
 指定袋採用のきっかけとなったのは、東京都が93年に全国に先駆けて推奨ごみ袋制度を導入したのが始まり。これを契機に、ごみ袋指定化の流れが全国に起こった。
 推奨制度の導入は、それまで再生原料によって生産されていたごみ袋のリサイクル・システムを破壊するにとどまらず、レジ袋のごみ袋としての再生利用の道も閉ざしてしまった。
 制度の導入に際しては、POFや日本チェーンストア協会、指定ゴミ袋を考える会などが疑問と見直しを求めたが、都側は当時の焼却炉の能力と都民のモラル向上などを理由に制度を貫いた。このような矛盾をはらんだまま清掃事業の区政移管に進みつつあるのが現在の状況だ。
 自治体側の言い分としては、「市民に指定ごみ袋を購入してもらうことで、ごみの減量につながる」(千葉県)といった考え方もある。千葉県では、80市町村のうち50の自治体が指定袋を採用している。ただ、レジ袋は再利用されてごみ袋としての役割も果たしていることを自治体の政策担当者は、もう一度考え直す必要があるだろう。
 レジ袋削減問題は、ごみ袋推奨制度の問題と深くつながっており、マイバッグキャンペーンなどを進める東京都や地方自治体に対し、業界は「レジ袋の再利用の道を閉ざし新たな『ごみ』にしてしまったことをどう考えるのか」アピールする必要性があるのではないだろうか。

 



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